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「桂甫氏の心」

桂甫氏が京びなを作る時、いつも心に思う事は「その人の家のどこにお雛様が飾られるのか、そしてどんな場面にお雛様があるのか」、そのお客様の心になって作るのだそうです。

そんな桂甫氏にとってお客様からの一番嬉しい言葉は「かわっていない」ということ。

「お客さんが、25年前にいただきました、と。どうもなってません、と。箱だけが汚れてますと。どうもなってませんという言葉、これ、嬉しいですね〜。」
桂甫氏が笑顔で話してくれました。

昔からお雛様は一人の女性の一代をしっかり見守
るとされています。だからこそ桂甫氏は頑なに拘り、京職人達の作品を1つ1つ丁寧に仕上げていくのです。

「以前に山形県で江戸時代の雛人形を見ましてね、私も何百年かたって自分の作った京びなが飾られているのを見てみたいです」と、何年先ではなく、何百年先の京びなの姿を桂甫氏は見ているのです。そして「これぞ、京雛と言われる、後世に残るようなものを作っていきたいですね」と京雛人形師・桂甫氏は誇らしげに語ってくれました。



◆安藤人形店

〒602-8034
京都市上京区油小路
丸太町上る
075-231-7466

油小路丸太町上ったところに京びな有職人形司の店「安藤人形店」はあります。この辺りは老舗のお豆腐屋や織物屋が残る伝統的な一角で、大正元年創業以来、京都で一番古い京雛人形師「桂甫」の製造元として長く親しまれてきました。現在では京都で唯一の「京都府伝統産業優秀技術者」、そして2001年度「現代の名工」に選ばれた名工中の名工、2代目「桂甫」と「京都伝統工芸士」の息子である忠彦氏の親子二代が揃って伝統の京びなを作り上げています。
「先代である父親がお茶屋に行くことをすすめたんです。」と2代目桂甫氏。遊ぶ事が目的ではなく、舞妓の着物と帯のコントラストや飾りなどを見る為、あくまで人形作りの為なのです。「そこで色んな世間の流れを見ているんです」と、お茶屋通いも大切な勉強と語る桂甫氏。そんな華やかな京文化に育まれた桂甫氏の京びなは、龍村織と西陣織正絹を使った衣装に、猪山作、健山作の頭と一級品のみを使用。
6部門に分業された一流の京職人達の作品を見事に拘り仕上げた京びなは、正しく京職人の技、そして京の伝統文化の集大成なるものです。1つとして同じモノはない桂甫氏の京びなは、特にお雛様の十二単(正確には十五単)の色のコントラストの美しさと種類の多さに驚かされます。1つ1つ手作業で作り上げる最高級の京びなは何百年たっても色あせることはありません。