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「半兵衛麩」といえば京都で知らない人はいないほどの老舗中の老舗のお麩屋さんで、京都の料亭では必要不可欠な逸品なんです。遙か遠方より買い求めるお客さんが絶えず、京都だけではなく全国区で「半兵衛麩」は有名なのです。
牛若丸と弁慶で有名な五条大橋を東へ進み、問屋町通りを南に下ると、昔ながらの京都の町屋がすぐ目に付きます。一見「誰かの家ちゃうの」と思わせる立派な町屋なんですが、そこが「半兵衛麩」なんです。
「ちょっと敷居が高そう…」と、中に入るのに多少の勇気が必要でしたが、思い切ってドアを開けると、なんとも京都の老舗といった落ち着いた雰囲気で、手作りホヤホヤの生麩や生湯葉、焼麩達が並んでいました。「ちょうど今できたんどすえ〜」と言わんばかりの手作りでモチモチ感のある生麩、さすが料亭行きの「半兵衛麩」の生麩は他とは全然違います!
また種類も豊富で、かわいらしい花や手鞠に形取られた生麩が工芸品のように並んでいました。 ところで京都出身の私ですら生麩や湯葉を使った料理はあまり口にすることはないのに、地方からのお客さんだとなおのこと馴染みも薄く、料理法が分からないのではないでしょうか。
そこでこちらのお店、「百聞は一見に如かず」と生麩、生湯葉料理を奥で食べさせてくれるんです。「一度本物を食べておくと、食べ方やら作り方が解るでしょ」と十一代目のご主人・玉置辰次さんが快く昔の町家で料理を召し上がってもらえるようにと町家を改造したのです。
お店の横の暖簾をくぐれば、昔懐かしい京都の台所で、おくどさん(おかま)やら井戸、棚の上には布袋さんが祀られていました。壁には京都の家には必ず貼ってある愛宕さんの火の要慎のお符、なんとも懐かしい京都の台所です。そこから靴を脱いで奥へ進んで行くと大きく二つのお部屋があり、私がお邪魔したのは箱庭を眺めながらゆっくり料理をいただけるスペースで、モダンな落ち着いたお部屋でした。こちらでいただける料理は「むし養い料理」の一種で、あとはお抹茶と笹巻麩、生麩の田楽、生麩の白玉汁粉といった点心だけです。
「『むし養い』って一体…」と思ってる方、京都では「虫押さえ」ともいって、お腹がすいて腹の虫がキュッっと鳴くのをなだめたり、押さえたりする、軽い料理といった意味のことをいいます。 |
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